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人を抱えたり、移動させたり、介護の仕事に腰痛はつきものと思われます。
体ひとつで食べていかなければならないヘルパーにとって、腰痛を仕方ないなで済ませるわけには行きません!
明日は我が身
良かれと思って頑張って介護しているのに、結果として自分の体を壊してしまうのは本末転倒な話です。
今回は、腰痛を引き起こす人の傾向と、引き起こさないための予防策・対策、腰痛を引き起こしてしまった場合の対処法を解説していきます。
腰痛を引き起こしがちな人の傾向
まず腰痛を引き起こす傾向がある人はこんな人です。
- 体重の重い利用者の身体介護を担当している
- 力まかせに介護している
- 腰痛になったことがなく、どんな体勢からでも余裕で物を持ち上げてしまう
- 床に落ちたものを、立ったまま腰だけを屈曲して拾ってしまう
- 仕事以外に運動を何もしていない
- ガチガチになった腰の筋肉をまったくケアしていない
- 寝具などが体に与える影響をあまり考えていない
これらの傾向に対応して、どんな方法で腰痛が予防できるのかを考えていきましょう。
腰痛を引き起こさないための予防・対策
意地でも腰痛を回避する!
- 体重の重い利用者の介護方法の見直し(複数人で介護する、コルセットなど各種サポーターを利用する、福祉用具・介護ロボットを活用する、担当を外れる)
- ボディメカニクスを最大限に活かした介護を行う
- 拾い物をするときや低い場所での作業は、腰を落として行う
- 筋力を鍛える(腰周りはもちろんのこと、下肢から上肢までまんべんなく筋力をつける)
- 腰痛になったことがなくても、無理な体勢での作業は行わない
- ストレッチなどを行い、凝り固まった筋肉をほぐす
- 整骨院やマッサージに通う
- 寝具を見直す
介護の仕事をしていて「腰痛の悩みとは縁がない」という人はいないのではないかと思うほど、誰もがその困難に直面します。
腰痛が原因で離職する人、腰痛持ちだから介護業界は避ける人、そういう人をたくさん見てきました。でも誰も守ってくれません。自分のことは自分で守るしかないのです。だから無理をしてはいけません。人やモノを頼りましょう。
介護用品・用具で解決する
コルセット
腰が痛いとき、力仕事をするときに、コルセット(腰痛ベルト)は有効です。
≫外部リンク「腰痛ベルトの選び方」(ザムスト公式オンラインショップ)
かくいう私はもともと犬の介護で腰痛になり、腰痛持ちのまま業界に入って、以来5年間コルセットを巻きながら介護の仕事をしていました。
コルセットがなくては不安で、寝るとき以外はすべてコルセットを巻いたままの生活を送っていました。
業界に入る前から度々ぎっくり腰に見舞われていた私にとって、コルセットは、私の生活すべてをギリギリのところで支えてくれた相棒で、救世主でした。
しかし、コルセットを常に続けていると、腰を支えている筋力が弱まってしまうというデメリットもあります。
そこでじっくりじっくりと腰周りの筋力を鍛え、少しずつコルセットを外していくようにしました。
もう6年以上は1度もコルセットを使用せずに仕事を続けられています。
今では少々腰を痛めても、ストレッチなどで治すことができ、コルセットの出番はなくなりました。一応お守りとして衣装ケースに眠っています。
福祉用具の活用
腰痛を緩和できる福祉用具は何か、と考えたとき、思い浮かぶのは昇降リフトやスライディングシート、介護用ベッド等です。福祉用具と言えば、利用者が使うもの、と考えがちですが、実は介護者にとっても役立っているものです。
リフトや介護用ベッドの導入は利用者と、利用者をサポートする周囲の努力なしには実現できないので、まずは利用者さん、ご家族、担当ケアマネジャーさん等、周囲の方々に検討をお願いしてみましょう。
介護ロボットの活用
イラストの様な人型ロボットはまだ先の未来の話として、先駆けのような製品、機器に組み込まれたような製品はすでに大規模施設などで採用され始めています。
まだ今のところ価格が高く、敷居の高い、導入が進んでいるとは言えない介護用ロボット。例えばスーツ型介護ロボットなど、装着型アシストロボットは、大きな施設では取り入れ始めているようですが、訪問介護事業所などではまだまだ普及は進んでいない状況です。
しかし今後見込ませる深刻な人材不足に向けて、装着型か否か、どのような方法かは別として、AIロボットの活用は不可欠なのではと思われます。
ボディメカニクスを利用した介護の方法
ボディメカニクス? よく聞くけれど何だったっけ。習った覚えはある。だいだい想像はつく。実践しているつもり…(だけど何だったっけ?)。
どういうものだったか復習してみましょう。よく学ぶのは以下のようなものです。
- 重心を低く保つ(腰から曲げるのではなく、膝を曲げて腰を落とす)
- 要介護者と密着する(離れていると力の負担が増してしまう)
- 支持基底面積を広く取る(右足と左足の幅を左右なり前後なり、広くとると安定が増す)
- 水平移動(身体を大きくねじらないよう平行に動く)
- てこの原理を使う(おしりを支点にして起座位にする等)
- 大きな筋群を使う(上手に全身の力を使い、腕力や腰の力のみに頼らない)
基本的なことばかりですが、怠っていなかったでしょうか。もう一度自身の介護場面をチェックしてみましょう。
体のケア
そして、何だかんだ言って、ボディメカニクスだろうが、福祉用具を活用しようが、やはりその技術や道具を使いこなすには、その中心にある生身のカラダの芯の部分を鍛えておくことが不可欠です。
ストレッチ
腰痛といえばストレッチ。わかっています、わかってはいますが、明日からやろう、いややらないかも…
私、忙しいんですよね、はっきり言って
大丈夫です。毎日15分、取れる日はじっくり行いたいですが、時間がない日は2、3分でも大丈夫です。継続することが大事なので、毎日体を痛めない程度に行い、習慣となれば体は改善していくはずです。
使う筋肉は凝ります。筋肉がかたくなるので、整骨院へ行きほぐしてもらうか、家族にもんでもらわなければなりません。当然プロのアスリートでもなければ毎日してくれるわけないので、自分で伸ばして柔らかくしてあげないといけません。
最近ではたくさんの良質な動画コンテンツがあるので、行ってみてください。1日5分やるだけでも、いつもと違う体を実感できるはず。
腰だけでなく、背中や太もも、ふくらはぎ等の筋肉も腰痛と関わりのある部位なので、ストレッチに取り入れましょう。
正しく行わなければかえって体を痛めることがあるので、集中して取り組むようにしましょう。
ヨガ
そういうのは専門的な人がやるものだから、と思っている方、全くそんなことはありません。ヨガは腰痛の予防に良いだけでなく、呼吸を意識し、自律神経を整えてくれます。心身共にリラックスし、免疫力アップに繋がります。
「私は体が堅いから全然ムリ」という方、全く問題ありません。出来ないなりで、自分に出来ないことはやらない範囲で行っても充分に効果は実感できるはずです。
ポーズを取ることにこだわらず、呼吸を意識することが大事です。
ただし、これも正しくない姿勢、無理な力のかけ方で行ってしまうと怪我の元になるので、注意して行うようにしてください。
ピラティス
もうワンランクアップを目指したい方にはピラティスがオススメです。
腰痛持ちの方は、筋トレをしてしまうと余計に腰痛を悪化させることになりかねません。ピラティスは筋トレより低負荷で行うことができ、ストレッチよりは高負荷で体を鍛えられる、といったイメージです。
仕事で体を痛めつけて帰ってきて、家に帰ってまでこんな強度の高い運動をやるのは割りに合わないと思うかもしれません。
しかし、たとえ週に2度3度でも、いや1度でも、運動にピラティスを取り入れると、仕事での体の強さが全然変わってきます。
こちらもYouTubeで良質なコンテンツが山ほどあるので、ぜひチェックしてみてください。
入浴
よく「腰痛なんです」と言うと、「温かいお風呂に入ってよくぬくもって」というアドバイスを受けることはないでしょうか。
腰に疲労が溜まってくると、筋肉が硬くなり、血行が悪くなります。これは慢性腰痛と呼ばれるもので、入浴することで、血行が良くなり、筋肉も柔らかくなり、痛みを和らげることが可能です。
合わせて入浴後にストレッチも行えば、柔らかくなった筋肉を、より広い関節の可動域で伸ばすことができるため、効果が高まるはずです。
ただし、いわゆるギックリ腰と言われる急性腰痛の場合は、温めることでかえって炎症を強め、悪化してしまうことがあるので注意が必要のようです。
急性腰痛になったときには、温めるのではなく、シップなどにより冷やすことを優先しなければなりません。
痛みがあまりに激しいときには、椎間板ヘルニアや、その他の病気などが原因であることも疑い、必ず医師の診断を受け、その指示に従うようにしましょう。
鍼灸整骨院・整体・マッサージ
鍼灸整骨院・接骨院・整体、あるいは保険適用ではないマッサージ店などによるマッサージ。
怪我や不調から回復するための選択肢は様々にあり、迷ってしまいますが、若い頃から腰痛に悩まされ、様々な分野の治療にチャレンジしてきた筆者としては、正直言ってこの問いに対する正解はありません。
施術を受けたことで腰痛を悪化させてしまったケースもあります。
また高額な自費治療の整体に通っても経済的に続かなければ意味がありません。とても良い整体師の方と出会っても、遠方で時間が取れずに続かなかったり、お気に入りの近所の整骨院ができたと思っても、施術する人が違えば体に合わなかったりします。
ただ私自身は今でもこれらの医療や自費サービスの常連です。これらがなければ日本人の健康はここまで支えられてこなかったのではないかと思うほど、やはりセルフケアではそれなりに限界もあり、どういう形であれ、腰や背中の疲労の蓄積を解消してくれる、これらの治療やサービスの必要度を感じています。
※ただし強い痛み、しつこい痛みがある場合には、整形外科を受診しましょう。
姿勢・寝具などを見直す
最後に考えたいのは寝るときの敷き布団・マットレスです。腰痛が取れない原因、眠りが浅くて調子が良くない原因は、その敷き布団・マットレスのせいかもしれません。
何となくそれと気づいていても、まぁいいや、また今度、と放置しがち。
高いものを買えばそれは良いのだろうけど、収入が見合ってないからと、つい見送りがちアイテムです。
マットレスが柔らかすぎると体が沈みこみすぎて自然な寝返りが打てず、腰にも圧力がかかると言われています。
堅ければいいかといえば、堅すぎると腰が浮いてお尻と肩に圧力がかかることになります。
自分に合った、ちょうど良いマットレスを見つけるのは難しいですが、恐らく寝返りを打てるマットレスが購入できたら、腰痛改善はもちろんのこと、睡眠の質がアップし、我が身のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)に繋がるのではないでしょうか。
まとめ
「介護はきつい仕事」と思われがちですが、リスク要因を排除し、正しく行うことができれば健康を保つのにとても良いお仕事と言えます。
実際に細身な私でも、転職前は日常的に使用していたコルセットですが、今では外して生活することができています。それは介護の仕事と向き合ってきたからこそ、毎日少しの時間でも身体のメンテナンスの時間を作り、ストレッチや軽い筋トレ(というほどでもないようなもの)を地道に続けているおかげです。
毎日、疲れ具合に合わせた負荷で行い、決して無理はしないようにしましょう。
また、必要度に応じて整骨院への通院や、マッサージ店の利用、入浴の活用や、寝具の見直し、また一時的な痛みにはシップや痛み止め成分の入った塗り薬など、色々と上手く活用しながら、日々のピンチを切り抜けていきましょう。
ピンチはチャンスだ!