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お風呂。健康な人であれば、基本的には毎日お風呂に入っていると思います。そんな当たり前のことが、様々な原因で、一人でできなくなってしまった利用者さんがいます。
頭洗って身体洗って浴槽浸かって…幸せです。それを私たちヘルパーがご提供いたします。
利用者さんのスッキリした顔見たら介助者も達成感ありますよ
※こちらではヘルパーの訪問による自宅の浴槽での入浴を想定した入浴介助をご紹介します。
準備
- 浴槽に湯をためる
- 洗身用タオル
- 入浴後のバスタオル
- シャンプー
- ボディーソープ
- 利用する福祉用具(入浴機器等)の確認
- 浴室の温度の確認
- 自分(介助者)の入浴着(短パンやTシャツ、フェイスタオル等)
事前確認
入浴前に、利用者さんの状態を確認します。
・利用者さんの健康状態※
・利用者さんの疾患
・入浴に影響があるような薬の種類や副作用
・移動の仕方や器具の使用方法※
・その他、入浴の好みや希望
※利用者さんの健康状態について、医師の指示に基づいて、検温、血圧等のバイタルチェックを行って入浴の可否を判断してください。
例えば血圧150以上の場合は入浴しない等の指示が医師から出ている場合があります
※移動の仕方や器具の使用方法についてはいちヘルパーの判断ではなく、サービス提供責任者が事前に入念に確認を行い、ケアチーム内で共有してください。
では実際に行っていきましょう。
入浴介助の手順
常に声かけを忘れないで。すべては利用者さんとの共同作業です
まずは浴室、脱衣所が温まっていることを確認してください。
浴槽に湯をはっている間に、トイレを済ませていただきます。
≫【トイレ介助】訪問介護の手順を現役ヘルパーがわかりやすく解説
脱衣
必要であれば、利用者の身体を隠すように、タオルやシーツなどを使用してプライバシーを守りながら、洋服や下着を脱いでいただきます。
脱健着患(だっけんちゃっかん)。
健康な方から脱ぎ、病気や麻痺側をあとで脱ぎます。
なぜなら患側はあまり動かすことができないからです。
もし両腕が拘縮している方であれば、どちらから脱ぐかは利用者さん次第ですが、脱がせ方のコツとして、まず片腕から、服を肩から肘と脱いで、最後に袖を、利用者さんの手を自分の手でくるりと掴み込み、自分の手の甲に袖を通過させるように脱ぐとスムーズにいきます。そして頭、もう片方の腕、と脱いでいきます。(もちろん頭から脱がせてほしいと言う方もいます。)
浴槽に入る
利用者の介護必要度に合わせて様々な入浴用具を使用します。
・手すりを掴んで入る。
・手すりとシャワーチェアを使用して入る。
・リフトを使用して入る。
入浴用品には様々なタイプのものが販売されています。利用方法は必ず入浴実施前に確認しておいてください。
入浴中
入浴中は、お尻が滑る等の危険があるため、声かけをしながら、利用者が安定していることを確認し、見守ります。掛け湯をしてほしいと希望させる利用者には手桶などで肩からお湯を掛けます。
ヘルパーにとっては暑い状況になるので、しっかり事前に水分補給をしておいてください
入浴中は利用者さんを不安にさせないよう、お話を傾聴するなど、心のケアも行います。
精神的に安定していただくことは、事故の防止にも繋がります。
利用者さんとコミュニケーションを取って、覚醒も促してください。
寝ないでください、溺れます
また、入浴中は血のめぐりが良くなることで、のぼせや貧血が起こり、体調が急変する可能性があることを念頭に置いておきましょう。
のぼせる前に浴槽から出られるよう、随時、声かけを行ってください。
洗髪
「では、頭を洗っていきますね」
自分が理美容室へ行って洗髪してもらう時のことを思いだしてください。1,000円カットしか行かないからわからない!という方もいるかもしれませんが、自分で毎日自分の髪を洗っているので、やり方を知らない人はまずいないと思います。
シャンプーして、必要ならリンスして、流してください。
洗身
利用者さんが自分で何をどこまでできるのかを把握しましょう
身体の端から中心に向かって洗身するのがいいと言われています。心臓に負担をかけないからだそうです。
利用者がお風呂椅子に座ったら、利用者の身体をシャワーで優しく洗い、汚れを落とします。 皮膚の弱い部分や皮膚が荒れている箇所には、特に注意を払いましょう。 また、利用者が自分で洗えない部分は、介助者が優しく洗います。
更衣・着衣
先ほどの脱健着患(だっけんちゃっかん)を逆に行います。
病気や麻痺のある側から着ていきます。
同じく患側は可動域が狭く、着衣が難しいからです。
患側を自分(介助者)の手で包み込み、袖を通すとスムーズに行うことができます。
整容
ドライヤーで髪を乾かし、必要であれば保湿剤などを塗布します。
最後に、気分を確認し、水分補給などを行ってください。
良い入浴になれば、利用者さんにとっては一日で最高のひとときになるかもしれません。
後片付け
浴槽を簡単に掃除したり、使用した物品を片付けます。
脱いだ衣類の処理をどうするか、確認しておきましょう。
最後にヘルパーも着替えて手洗い等を行い、完了です!
その他の入浴方法
部分浴
手浴(しゅよく)・足浴(そくよく)などがあります。
両足が入る大きな桶を用意します。(ホームセンター等で売っています)
お湯をはります。
やけどしない程度に、自分の手で確認し、利用者さんの気持ちの良い温度に調節します。
足に少しお湯をかけて、利用者さんに確認していただき、桶のなかに浸かっていただきます。
介助者は手袋をし、優しくボディソープなどを使って洗っていきます。
指の間などをきれいに洗います。
皮膚の状態を異常がないか確認しながら行ってください。
桶の湯が汚れたら、一旦タオルで利用者さんの足を包み、新しいキレイな湯を用意し、ボディソープを洗い流していきます。
キレイに指の間も拭き終え、もし軟膏を塗る必要性があれば塗布します。
たとえ入浴できなくても、手浴や足浴だけでもできれば、利用者さんにはとても喜んでいただけるはずです。
頭だけ洗髪することもできます。下のイラストのような専用のバスタブがなくとも、浅めの桶があれば、肩にクッションを入れて苦しくないよう頭の高さを調整し、洗髪することが可能です。
ドライシャンプー
ドライシャンプーとは、入浴できないとき、水を使わずに泡だけで頭を洗うものです。市販のものが売っているので、スプレーを頭に吹き掛けて泡で頭をゴシゴシするだけ。あとはドライヤーで乾かすだけでスッキリします。
ちなみにドライシャンプーは健常者の方でも気軽に使えますし、防災用に常備しておいても良いものです。
入浴の意義
在宅での入浴介助が必要な方は、残念ながら毎日入浴できるわけではありません。週に2、3回といったところです。
利用者さんの身体の清潔を保つことが入浴介助の一番の目的ですので、丁寧に、なるべく利用者さんに負担をかけずに行いたいものです。
体がキレイさっぱりすれば利用者さんも気持ち良いに違いありません。
しかしそれだけでなく、入浴には様々な効果があります。要介助者じゃなくとも、健常者にとってもです。
筋肉や関節がほぐれるだけでなく、臓器に働きかけたり、血行が良くなり新陳代謝も高まります。自律神経が整い、抵抗力もアップします。
やっぱりそれができちゃうヘルパーってマジすごい♪