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口腔ケアの役割、口腔ケアの持つ力はすごいのです。
訪問介護における口腔ケアの意義は、単純に虫歯の予防だけではありません。誤嚥性肺炎のリスクを低くし、全身疾患の予防の基礎となり、口腔内を刺激し、清潔を保つことで食べることや話すことを促進します。
歯磨き (ブラッシング)
準備するもの
- 歯ブラシ
- 歯磨き粉
- 水を入れたコップ(吸飲み)
- ガーグルベースン等(うがい受け)
実践
①まずは口をすすいで食べかすや飲料の汚れをサッと落としていただきましょう。
②歯ブラシに少し水分を含ませて、歯磨き粉をつけます。
③歯ブラシを鉛筆持ちして、口腔内に突入します。
④まずは歯磨き粉を口腔内全体になじませます。力は入れず、たゆませるぐらいの持ち感です。
⑤磨く順番はどこからでも構いませんが、磨き残しを防ぐためにはある程度自分の中で決めておいたほうが良いでしょう。
例えば、まずは上の歯、表面の奥から手前に磨いていきます。
⑥歯に対して90度に歯ブラシを当てて、1本、2本ずつを10回ずつぐらい磨いていきます。
小刻みに動かし、隙間の汚れを掻き出すイメージを持つことがポイントです。
歯と歯茎の隙間の、いやゆる歯周ポケットを磨きます。歯ブラシを45度にして、歯茎を傷つけないように、優しい力で磨いていきます。
⑦嚙み合わせを磨きます。
⑧上が終わったら下へ、表側が終わったら裏側へ、左が終わったら右へ、奥が終わったら前へ、と自分でしっかりとした流れと持って磨いてください。
歯石がつき易い場所は歯ブラシのかかとなどを使いましょう。
利用者さんも長時間口を開けていると疲れますので、手早く丁寧に行ってくださいね。
3~5分くらいが目安です。
仕事は素早くゆっくりと行うことが基本ですよね
矛盾しとるがな
歯ブラシには色々な種類があります。奥を入念に磨きたい方にはタフトブラシという、先がとがった形をした隙間用のブラシがありますし、歯間ブラシやフロスを1日1回取り入れてみるのも良いでしょう。またブラシにはそれぞれ、大きさ、柔らかさも色々とあるので、利用者さんによって使いわけしてください。
⑨最後にお口をすすいでいただきます。
※最近の歯磨き粉は歯を強くしてくれるフッ素が含まれているものが多く、フッ素を歯に留まらせるために、すすぎは1、2回で良い、と言われています。
完了!
口腔ケアスポンジで磨く方法
ブラッシングできない方は口腔ケアスポンジを使用します。口腔内が乾燥している方は口腔潤滑剤を使います。
準備するもの
- 口腔ケアスポンジ
- うがいができるならガーグルベースン(うがい受け)やコップ(吸飲み)
- 歯磨き剤 ※歯磨き粉以外にも泡を舌に乗せるだけのものもあります。
- 必要であれば口腔潤滑剤(口腔保湿ジェル)など
実践
①口腔ケアスポンジを水で濡らし、しっかり絞りましょう。
②ブラッシング時と同じように、決められた順番はありませんが、自身でしっかり自分で決めておくと磨き残しがなくなります。
③口腔内に入らせていただき、奥から手前に、ぐるぐる回したり、前後上下にごしごしいきます。
④歯だけでなく、歯茎、舌なども磨いていきます。
⑤一通り終わったら舌も磨きましょう。
⑥うがいができる方はうがいをしていただきます。
⑦お口の中が乾燥しがちな方は、口腔保湿ジェルなどを使って、お口の中にうるおいを与えます。
⑧スポンジは使い切りなので、一度使ったら捨てます。
完了!
義歯(入れ歯)の洗浄
準備するもの
- できれば義歯ブラシ(なければ歯ブラシ)
- 入れ歯用歯磨き粉
- 入れ歯用洗剤
実践
①入れ歯は部分入れ歯によせ、総入れ歯にせよ、一度外していただきます。
②流水で流しながら、義歯用の歯ブラシで磨いていきます。
③部分入れ歯は引っ掛ける金具(クラスプ)をきれいにしてあげてください。
④洗浄剤につけておく。
※洗浄剤については製品によって使い方が違うと思うので、製品の使用法に従ってください。
あくまでも天然の歯と入れ歯(人工的な歯)は違うものなので、専用のものを使ってください。
※ちなみに、ブリッジやインプラントはこちらも人工歯になりますが、これは普通の銀歯と同じで、取り外せるものではないので、天然歯と同じ要領で磨いてオッケーです。
完了!
ガーゼを使って磨く方法
歯ブラシが使えない、寝たきりの方などの場合は、ガーゼを使って口腔ケアをする方法があります。
準備するもの
- ガーゼ(水で濡らして絞っておきます)
- 使い捨て手袋
※最近では口腔ケア専用のウエットシートが市販されていて、便利ですよ。
実践
①まずは可能であれば口腔内のチェック。炎症などの異変がないかを確認します。
②手袋をしたうえで、ガーゼを人差し指に巻き付け、口腔内に突入。
③歯、歯ぐき、舌、頬の内側、上あご等、口腔内全体を、奥から手前に向かって優しく拭き拭きしていきます。
※噛む利用者さんもなかにはいるので、注意して行ってください。
完了!
その他、追加できる様々な口腔ケア
・フロス(糸を使って歯間の汚れを取るやつです)
・歯間ブラシ(ラバーブラシや、ナイロンブラシ等。フロスと併用するのがベストです)
・舌みがきブラシによる舌みがき(舌を傷つけないよう注意)
・舌専用クリーニングジェル
・口腔ケア綿棒(指やスポンジの代わりにできます。汚れを取り、口腔内のマッサージに使えます)
・口腔保湿スプレー
・液体フッ素コート(虫歯になりにくくし、知覚過敏をやわらげます)
・ナノ歯ブラシ(やわらかく、歯茎マッサージなどに最適)
・だ液腺マッサージ(だ液が出て口腔内の自浄作用が働きます。また口腔内が潤うことで、口腔ケアがしやすくなります。
口腔ケアの意義とは
訪問介護における口腔ケアは、ヘルパーが利用者さんの歯を磨くだけのことです。
でもそれだけのことに、どれだけのパワーが秘められているか知ってほしいです。
口腔内の清潔を保つということは、単純に虫歯にならないようにするだけではありません。
もし口の中の細菌を放置し、歯周病を引き起こしたりしていると、食事などで汚い菌を飲み込みます。誤嚥すれば肺炎(誤嚥性肺炎)につながりますし、その他の全身疾患にもつながります。
口腔ケアはそれらのリスクを引き下げますし、他にも例えば、舌の汚れを取り除くことで味覚が敏感になり食欲が増えて健康が増します。
そして歯肉を刺激することは、お口の中に反応を促します。例えば食べること、話すことを促すスイッチの役割を果たすことがあるのです。
頬の内側をストレッチするのも、口の中の良い刺激を促し、コミュニケーションの改善に繋がっていくのです。
また口臭を抑えることも本人のご本人のコミュニケーションの改善に繋がります。
咀嚼は脳の活性化につながるとか・・・専門的なことを言い出すとキリがありません。
まとめ
というわけで、今回は様々な口腔ケア方法について、手順を解説しました。
歯磨きは口がスッキリして気分もスッキリ、介助する方だって利用者さんの口の中スッキリしていてほしいですもんね。
ただ清潔を保つだけではなく、口腔ケアの役割、口腔ケアの持つ力はすごいのです。
介護士ってマジすごい♪
追記:もちろんですが、利用者さんご本人で歯磨きできる場合は、居室から洗面所の間の移動を介助し、声かけを行いながら、洗面や歯磨きの見守りを行います。使用した物品の片づけなど、訪問介護計画書に沿った必要な支援を行ってください。