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今回は訪問介護でのおむつ交換、おむつ交換に伴う陰部清拭、陰部洗浄の手順を解説していきます。
介護保険サービスを利用した訪問介護でのおむつ交換は、1日2,3回程度、時間をあけて訪問し、他のサービスと組み合わせるなどして行います。
※おむつ交換の一般的な頻度は、在宅介護では家族が行う介助と合わせて1日4回~10回、施設介護では2回の排尿に対して1回程度が目安です。
ご本人が快適に過ごせるということが一番の目安なのですけどね
おむつ交換中は利用者さんから離れることが難しくなるため、前準備をしっかりしてから行っていきましょう。
準備
用意するもの
- おむつ・リハビリパンツ(※ここではテープ式の手順を解説します)
- 尿取りパッド
- お尻拭きシート
- 汚れたおむつを置くための新聞紙、バケツなど
- 廃棄物を捨てる袋
- 使い捨て手袋、使い捨てエプロン
- 陰部洗浄ボトル ※適度な温度(38、9度)のお湯を入れて使います。
- 洗浄用石鹸(ボディーソープ等)
- 陰部清拭タオル ※拭き取り用に。普通のフェイスタオルでもOK。
- 防水シーツ
環境整備
- ベッドの高さを、介助しやすい高さに調整する。
- 羞恥心に配慮して、カーテンやドアを閉める。
- 防水シーツが敷かれているか確認する。
- 利用者さんの足元に新聞を敷く、バケツを置くなどし、その上に取り換えたおむつを廃棄するためのゴミ袋をひろげる。
- ベッド横から介助しますので、ベッド柵を取り外した方が介助しやすければ、声掛けをし、取り外す。
コミュニケーション
お声掛けはとても大切。利用者さんの協力を得られると介助も楽になります。
黙って始めるより、簡単に手順を伝えてから始めたり、すを確認したりして、リラックスしていただきながら取り掛かることが大切です。
今回は仰臥位(ぎょうがい・仰向け)→ 側臥位(そくがい・横向け)→ 仰臥位(ぎょうがい・仰向け)の手順で行っていくので、そのようなことを簡単に手振りで説明してから取り掛かるのも良いでしょう。
麻痺がある場合は麻痺側を下に巻き込まないよう、側臥位の向きに注意しましょう。
両上下肢に機能障がいがある方でも、下になる方の腕や、足に注意を払いながら側臥位にします。
会話の中で、そのような注意点についても漏れなくチェックしましょう。
ヘルパーの準備
・便や尿の飛び跳ね対策として、必要であれば使い捨てエプロンを装着する。
・使い捨て手袋を装着します。※失便対応であれば、便が付着する方に2枚ほど重ねて装着しておくと便利です。
新しいおむつの準備
ベッド上でのおむつ交換を想定しますので、おむつはテープ式と仮定します。
・新しいおむつを用意します。
・おむつを広げ、ギャザーの内側に尿取りパッドを敷きます。
・尿取りパッドは尿漏れを防げる位置になるよう尿道口を意識して取り付けます。女性だとやや後方に、男性は前方にセットします。
・後で苦労しないために、ギャザーもこの時にしっかり立てておきましょう。
※もし陰部洗浄をする場合や、漏れる可能性がある時は、一度側臥位になっていただき、お尻の下に古新聞等を敷くと、シーツ汚れの予防になります。(新聞の端を少し丸め込んでお尻の下に敷き、仰臥位に戻して丸め込んだ部分を開きます)
実践
手早く丁寧に行い、利用者さんの負担を軽減しましょう
おむつの取り外し
まず膝を立てられるなら膝を立てていただきます。
仰臥位の状態で古いおむつのお腹部分のテープを外し、側面と前面を広げます。
(もし側臥位になるときに腹圧がかかり失禁するおそれがあるなら、尿取りパッドを押し当てたままおむつを開く方法もあります)
おむつの取り外しは、清拭、陰部洗浄を行ったあと、側臥位の状態で臀部の下に丸め込み、新しいおむつをセットして、仰臥位に戻してから取り外します。
尿失禁のみの場合は、おしり拭きシートでの清拭で十分な場合もあります。
失便がある時や、少なくとも最低1日に1回は陰部洗浄を行いましょう。
陰部清拭・陰部洗浄のやり方
陰部清拭・洗浄は古いおむつの上で行います。
先ほどと同様、仰臥位の状態で始めます。膝を立て、古いおむつのお腹部分のテープを外し、側面と前面を広げましょう。
陰部清拭では、お尻拭きシートや清拭用タオル(お湯で絞ったタオルなど)で拭き取りを行います。(タオルをお湯で絞って行うならハビナース等の清拭料を入れることをおススメします)
陰部洗浄では、陰部洗浄ボトルに38、9度程のお湯を入れて、陰部を洗い流します。正確に湯温を計れなくても、古いおむつの上で少しだけ自分の腕にかけてみて、湯温を確認してください。
男性器の場合、亀頭から陰茎、陰嚢、最後に肛門の順に清拭・洗浄を行い、尿道口に雑菌などの汚れが入らないように注意します。
女性器の場合も、尿道口から肛門へと上から下に向かって汚れを取り除きます。尿道口に雑菌が入って、尿路感染症や膣炎を起こすのを防ぎます。
いずれも細かい皮膚のすき間に染み込んだ汚れを、洗浄用石鹸等を使用して、溶かし落とすようなイメージで、やさしく洗い流し、拭き取っていきましょう。
洗浄後は、皮膚をこすらないよう気をつけながら、水分をしっかり拭き取ります。
汚れた手袋は外して廃棄し、新しく装着して側臥位にします。
側臥位への体位変換の際は、膝を立て、安全のために腕を胸の前で組んでいただき、行います。
※腕を組めない方も、下になる腕を巻き込まないよう注意します。
側臥位の状態で臀部を清拭・洗浄していきます。
臀部(お尻の部分)を洗浄する際は、円を描くようにやさしく石鹸を泡立てて洗浄します。
洗浄後は、また蒸れ防止のためしっかりと水分を拭いたあと、必要に応じて塗り薬や保湿クリームを塗ります。
皮膚の状況を観察し、褥瘡や発赤などの肌トラブルがないかを確認したうえで、新しいおむつを装着していきましょう。
新しいおむつの装着
側臥位のまま、古いおむつを臀部の下に巻き込んでおき、新しいおむつをセットします。
最初に解説した通り、尿や便の漏れを意識し、おむつと尿取りパッドが正しい位置につけてあるかを確認します。
仰臥位になったときに、丁度良い位置になるように想像してみてね
セットが完了したら、仰臥位になっていただきます。足と太ももの位置をまっすぐに整え、膝が立てられるなら膝を立てて装着しやすい状態にします。
陰部(尿道口)が尿取りパッドに収まるように、下部からおむつを装着して、側面のテープをお腹の前に持ってきて、手のひらが入るぐらいのゆとりを持って接着します。
※きつく締めすぎないように注意し、また緩すぎて尿漏れしないように、ジャストの位置でテープを貼りましょう。
ギャザーを引き出し、しっかり太ももの周りでフィットしているのを確認して完了です。
その後ズボンを履く際には、また側臥位にするなどし、お尻側もしっかりシワなく、ズボンの腰の位置が合うようにして、行っていきましょう。また利用者さんの負担を軽減するために、なるべく少ない体位変換の回数で行えるよう、普段からヘルパー同士での訓練を行っておきましょう。
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まとめ
実際には、利用者さんの身体の状態、体型や肉付き、皺や皮膚の状態などによっても手順や方法は異なるでしょう。
しかし排泄処理を難しく考える必要はありません。自然の摂理、生きている限りつきまとう、当然のことなのです。
排泄行為は人間行為そのものなんだ
ただし排泄・清潔介護は、利用者さんにとっても身体的・精神的負担を伴います。しかしこの介助があってこそ、利用者さんのQOL(生活の質)を維持できるのです。
同居家族など、日々介護をしている方にとっては来る日も来る日も排泄処理に追われ、疲弊していることでしょう。ヘルパーは正しい技術やその方に合った方法を身につけ、利用者さんのみならずご家族の方の負担を軽減できるよう、日々研鑽していきたいですよね。